
東京品川中央ロータリークラブで講演させて頂いた際に『フィンランドの教育史』について少しお話ししましたが、時間の都合上お話ししきれなっかった部分をここで掘り下げてみましょう。
国連の世界幸福度ランキング(143カ国)首位で有名なフィンランド(7年連続)。このランキングは、
・一人当たりGDP
・健康的な平均寿命
・困ったときに助けてくれる友達・親族はいるか?
・人生で何をするか選択の自由があるか?
・GDPにおける寄付実施者の度合い
・政府機関に腐敗は萬栄しているか?
・昨日楽しかったかどうか
の自己認知の度合いの6つの説明変数で回帰分析し、寄与度も分析したものなのです。(国や年による幸福度の違いの4分の3以上を説明できるとしている)
※説明変数:ある現象や値を説明する変数(何かの原因となっている変数)
※回帰分析:主に結果に対する原因を推測する際に利用されます。また、いくつかの種類があります。
フィンランドが国民の幸せを促進するために行っているいくつかの取り組みを紹介します。
1.教育の無償提供
フィンランドでは、教育が無償で提供されています。これによ
り、全ての子どもが平等な教育を受けることができ、生まれによ
る格差を減らすことができます。またフィンランドの小学校前の
1年間の学前教育(Pre-School)、小学校、中学校(小中一貫校
が多い)、高校までの昼食の給食は、国が負担し無料です。学校
教育における子供にかかる費用がかからないことによって、親の
子供に対する教育費負担が削減され、金銭的理由で子供の将来の
可能性が制限されません。
| 日 本 | フィンランド | |
| 教育システムと カリキュラム | システムは厳格で中学校と高校は3年間、大学は4年間です。カリキュラムは科目ごとに詳細に設計されており、生徒は幅広い科目を学びます。 | システムは柔軟で学年ごとのカリキュラムは緩やかに設定されています。生徒は自分の興味に合わせて学習することができます。 |
| 授業時間と宿題 | 長時間の授業と多くの宿題に直面します。試験の成績が重視され、競争が激しいです。 | 授業時間は比較的短く、宿題は少なめです。評価は総合的な視点で行われ、競争はあまり強調されません。 |
| 教師と生徒の 関係 | 教師は権威的で、生徒は教師に従うことが求められます。 | 教師と生徒は対等な関係を築ります。教師は生徒の個々のニーズに合わせてアプローチします。 |
| 学業以外の活動 | クラブ活動や部活動に熱心で、学業以外の活動も重要視されています。 | 学業以外の自由な時間が多く、趣味や興味に合わせて活動することが奨励されています。 |
2.育児休暇とワークライフバランス
フィンランドでは、育児休暇がしっかりと整備されています。両
親が共に育児休暇を取ることが奨励されており、仕事と家庭のバ
ランスを取りやすくなっています。
・定時に帰る文化
フィンランドの企業は、始業は早めの8時となっていることが
多いですが、終業も早く16時半を過ぎるとほとんどの人が退社
します。1日8時間、週40時間以内の勤務時間を守ることが国民
全体で共有されています。繁忙期でも残業は避けられるように
なっています。残業に費やした時間は、お金もしくは休暇とし
て補償されます。
・効率化を徹底したワークスタイル
フィンランドの企業は効率化を重視しており、オープンオフィ
スやフリーアドレス制などの柔軟なオフィススタイルを導入し
ています。電動で高さを調整できる机を使ったり、立ってデス
クワークをすることで、効率的に仕事を進めています。
・ 休憩を効果的にとる文化
フィンランドでは休憩時間を効果的に活用する文化がありま
す。例えば、「タウコユンパ」(タウコは休憩、ユンパはエク
ササイズの意味)と呼ばれる休憩時間にエクササイズをする習
慣があります。コーヒー休憩も法律で認められており、労働者
の権利として定められています。
・ウェルビーイングの重視
フィンランド企業はウェルビーイング(身体的、精神的、社会
的な健康)を重視しています。労働者のモチベーションや忠誠
心を向上させるために、フレックスタイムやオフィス環境の改
善に注力しています。
3. 性別平等と女性のリーダーシップ
フィンランドは、女性のリーダーシップを奨励しています。企業
の管理職に女性を増やすための政策が進められており、性別平等
を実現しています。
フィンランドの3人目の女性首相サンナ・マリン(前首相)が就任し
たのは、34歳の時でした。また女性の大臣が占める割合は19人中
12人平均年齢は47歳。2019年の国会議員の女性の割合は47%
4. 自然とアウトドアの活用
フィンランドは美しい自然環境に恵まれており、人々はアウトド
ア活動を楽しむことができます。自然との触れ合いは、心身の健
康に良い影響を与えています。
5. 社会的なつながりと信頼
フィンランドの社会は、信頼と協力を重視しています。人々はお
互いを尊重し、共同体としてのつながりを大切にしています。フ
ィンランドのように、ウェルビーイング(英: Well-being)の思
想を社会の根幹に据えることで、国民一人ひとりが幸せで充実し
た生活を送ることができる社会を目指すことができます。それぞ
れの国が自国の文化や価値観に合わせて、ウェルビーイングの思
想を取り入れることで、より良い社会を作り上げることができる
でしょう。
なぜ教育が必要なのでしょうか?私が考えるに最終的には、人々が幸せに生きるためだと思います。では、どんな教育が必要なのでしょうか?
日本の場合…
自分で自身の将来の人生を選択できる力=幸せに生きる力
↳知識やスキルが必要→受験に合格して選択肢を広げること
=よりよく生きるため
日本での教育は教師が生徒に知識を与え、正解を教える教育がとられています。そして、より良い学校や企業に進むための試験成績が重視されることが多いです。
フィンランド…
幸せに生きる力を育むこと
個性を尊重し、伸ばす教育が行われています。学習評価は日々の行動や能力、面談の記録、テストの成績などをもとに記録されます。個人内で行う絶対評価で成績がつけられ、順位づけで相対評価をすることはありません。(競うのは、以前の自分)子どもたちが自己実現を果たし、幸せな人生を送ることが教育の目的とされています。
フィンランドでは問題解決能力を養うことを重視します。
※クロスカリキュラム
クロスカリキュラムとは複数の教科を横断した学習のことで、多面的な視点を持つことを目的としています。
例:フィンランドの主要都市の地図とそれらの都市間の道路距離が表で示されており、ある都市からある都市を経由して別の都市まで行くのに車で何キロメートル走るかという課題
答えは1つでは、ないと思いますが私たちは、正解や利益(未来の安全・安定の確保)を求めるだけではなく、自分たちやみんながどうしたら幸せになれるのかを考えたら、もっと幸せな未来が待っているのかもしれません。
