卯月


 待ちわびた桜の開花かと思えば、数日で花びらが風に揺れて可憐に舞い散る。春の訪れは、この短い間に季節が巡ることを感じさせてくれますね。桜は日本を象徴する美しい植物であり、春になると老若男女その花に魅了されますが、桜は虫が発生しやすく思わぬアクシデントに遭遇することがあります。最近、その昆虫たちの数が減少していることをご存知でしょうか?



 昆虫の減少は、一見ポジティブにとらえる方が多いかと思いますが実は、私達の生活に大きな影響がでてくると言えるでしょう。例えば、昆虫は多くの鳥類やは虫類、魚類にとって主な食料です。昆虫の減少は、これらの生物の絶滅につながる可能性があります。(食物連鎖への影響)
 そして昆虫の減少は、農業にも影響を及ぼすおそれがあります。花粉媒介者のミツバチは、私たちの食料となる作物の3分の1以上に授粉しています。野菜や果物、お茶やコーヒー等、彼らは花粉を運ぶことで多くの作物の受粉を助け、私たちの食卓に並ぶ食品の一部を支えています。(農作物のへの影響)
 また昆虫は生態系サービスを提供しています。具体的には、土壌の作成、有機物分解、栄養循環、水質浄化、生物防除などです。昆虫の減少により、これらのサービスが減少し、生態系全体が影響を受けます。(土壌の栄養循環)
 昆虫の減少は世界中ほぼ全ての地域で起きており、向こう数十年で全体の40%が絶滅する恐れがある。現在、昆虫の3分の1が絶滅危惧種だという。

では、なぜ昆虫は減少しているのでしょうか?

 「農業や都市化、森林伐採などで生息地を奪われたことが、昆虫が減少している主な要因だ。その次に、世界中の農業で使われる肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染が挙げられる。3つ目は生物学的要因、つまり侵略種や病原菌によるもの。4つ目には、特に熱帯地域で大きな影響を与えている気候変動がある」と豪シドニー大学のフランシスコ・サンチェス=バヨ博士はBBCの取材で説明していた。

 2番目の原因にあげられていた〝肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染″…植物の成長を助けるはずの肥料がなぜ虫を減少させている一つの理由になるのでしょうか?
 ニコルズ博士いわく、化学肥料は菌根菌に悪影響を及ぼすとのこと。よかれと思って化学肥料を撒くことで、実は土を “助ける” どころか、”傷つける”ことになってしまっていたわけだ。化学肥料は、微生物と植物の根の関係を邪魔する。
 植物に”無料の養分”を与えてしまうので、植物は微生物から養分を分けてもらう必要がなくなってしまうのだ。これが起きると、植物は炭素を自分のところに溜め込むようになり、微生物は十分に成長できるだけのエサを受け取れないので数が減る。菌根菌は本来、植物が必要とするミネラルを炭素と引換えに効率的に供給するけれど、もし植物から炭素が来なくなれば、土からミネラルを取り込めなくなり、つまりは植物もミネラルにありつけなくなる。化学肥料は限られたタイプの栄養素しか含まない。植物が必要とするすべての栄養素を提供してくれるわけではないのだ。
※サスティナブル:持続可能な、維持できる

                 参考文献 土を育てる(P58)
                 発 行 所 NHK出版 2022年5月30日発行
                 著  者 ゲイブ・ブラウン

さらに、微生物が死ぬと、地中の水分のなかに硝酸態窒素が放出され、それが雑草の成長を促してしまう。

再起(自然をよみがえらせるには?)

 必要なのは、「生態系をよみがえらせること」である。やせた土地は、水分浸透速度の低下、生産性の低下、土壌の圧密(圧縮や沈下)、雑草の増加、収量の低下、投入コストの増大、塩害、植物の病害、外来害虫、土壌流出、採算性の悪化など、さまざまな兆候となって表れる。原因はただひとつ、「生態系の機能不全」である。

                 参考文献 土を育てる(P48)
                 発 行 所 NHK出版 2022年5月30日発行
                 著  者 ゲイブ・ブラウン

 この事をふまえ私は、自然保護に対する理解を深め、持続可能な生活を実践するために教育と意識の向上が必要と感じていますこれらの取り組みは、私たちが持続可能な未来を築くために不可欠です。自然を守り、回復させることは、私たち自身の健康と幸福にも直接的な影響を与えると言えるでしょう。

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